ビットコイン、GBTC売り圧力後退で底打ち鮮明に
ビットコインの価格が週末に上昇し、42,000ドル台後半まで回復しました。この上昇の背景には、GBTC(グレースケール・ビットコイン・トラスト)からの売り圧力が後退したことや、現物ETF(上場投資信託)への資金流入がプラスに転じたことなどが挙げられます。今週は、米国の金融政策や経済指標に関する重要なイベントが続きますが、それまではビットコインの底堅さが続くと見られます。
GBTCの売り圧力が緩和
GBTCは、ビットコインに連動する価格変動を目指す投資信託です。GBTCは、ビットコインの現物ETFが米国で認可される前は、ビットコインに投資する唯一の方法として人気がありました。しかし、2023年10月にビットコインの現物ETFが複数上場されると、GBTCはその魅力を失いました。なぜなら、GBTCは現物ETFと比べて、以下のようなデメリットがあるからです。
GBTCは、ビットコインの価格に対して割高なプレミアムをつけて販売していましたが、現物ETFの登場により、プレミアムがディスカウント(割安)に転じました。つまり、GBTCの価格はビットコインの価格よりも低くなりました。
GBTCは、購入後に6ヶ月間のロックアップ期間があり、その間は売却できませんでした。しかし、現物ETFはロックアップ期間がなく、いつでも売買できます。
GBTCは、現物ETFと比べて、管理費用が高く、流動性が低いという欠点もあります。
これらの理由から、GBTCの保有者は、現物ETFに乗り換えるために、ロックアップ期間が終了するとGBTCを売却しました。このGBTCの売り圧力は、ビットコインの価格にも悪影響を及ぼしました。特に、2023年12月には、GBTCの約10億ドル相当が解約され、市場に放出されました 。これは、ビットコインの価格が38,000ドル台まで下落した主な要因の一つとされています。
しかし、2024年1月に入ってからは、GBTCの売り圧力が緩和されてきました。GBTCからの流出額が減少したことや、現物ETFへの資金フローがプラスに転じたことがその理由です。また、GBTCのディスカウント率も縮小してきました。これらのことは、ビットコインの需給バランスが改善されていることを示しています。
ヘッドアンドショルダー完成で底打ち鮮明に
ビットコインの価格は、GBTCの売り圧力が後退したことで、週末に上昇しました。40,000ドルを挟んでのもみ合い圏を上にブレークすると、42,000ドル台後半まで値を伸ばしました。この上昇により、ビットコインのチャートには、ヘッドアンドショルダーと呼ばれる反転パターンが完成しました。
ヘッドアンドショルダーとは、左肩、頭、右肩という3つの山が形成されるパターンで、下降トレンドの終了と上昇トレンドの始まりを示すサインとされています。ビットコインの場合、左肩は12月の高値49,000ドル、頭は1月の高値52,000ドル、右肩は1月の戻り高値41,000ドルとなります。そして、左肩と右肩の谷を結ぶネックラインは38,000ドル台半ばに位置します。
ビットコインは、先週水曜日にネックラインをサポートにして反発しました。しかし、右肩の完成には至らず、40,000ドルを挟んでのもみ合い推移を続けました。金曜日には、オプションの期日が集中することもあり、40,000ドルのストライクに引き寄せられる動きが見られました。
しかし、オプションの期日を通過すると、ビットコインは上昇に転じました。水曜日に付けた戻り高値を上抜けると、ヘッドアンドショルダーが完成しました。これは、ビットコインの底打ちが鮮明になったことを意味します。ヘッドアンドショルダーの目標値は、ネックラインと頭の差額をネックラインから上に加算した値となります。ビットコインの場合、約14,000ドルを38,000ドル台半ばに加算した52,000ドル台が目標値となります。
今週の見通しと注目イベント
ビットコインの価格は、ヘッドアンドショルダー完成により、上昇トレンドに転じました。次の目途は、前回の高値と半値戻し水準が重なる43,700ドル近辺となります。この水準を突破できれば、さらに上値を目指すことができます。
一方、下値のサポートは、ヘッドアンドショルダーのネックラインとなる38,000ドル台半ばとなります。この水準を割り込むと、下降トレンドに再び入る可能性があります。また、40,000ドルも心理的な節目となる水準ですので、注意が必要です。
今週は、米国の金融政策や経済指標に関する重要なイベントが続きます。その中でも、最も注目されるのは、31日(水)に発表されるFOMC(連邦公開市場委員会)の声明と、パウエルFRB(連邦準備制度理事会)議長の記者会見です。市場は、FRBが利下げのタイミングやペースについてどのような見通しを示すのかに関心が高まっています。現在の市場予想では、5月か6月に利下げが開始されると見られていますが、それまでに経済指標が改善したり、インフレが加速したりすると、利下げの必要性が低下する可能性もあります。逆に、経済が冷え込んだり、インフレが鈍化したりすると、利下げの早期実施が期待されるでしょう。パウエル議長は、利下げの是非や時期について、市場の楽観論や悲観論をけん制するバランスの取れた発言をすると予想されますが、もしタカ派的な姿勢を示すと、ドル高や株安につながる恐れがあります。
また、今週は米国の重要な経済指標も多数発表されます。特に、2日(金)に公表される1月の雇用統計は、米国の景気動向を判断する上で最も重要な指標の一つです。市場予想では、非農業部門の雇用者数は前月比で17.8万人増加し、失業率は3.5%に据え置かれると見られています。平均時給は前月比で0.3%上昇し、前年同月比では3.1%の伸びとなると予想されています。雇用統計が予想を上回れば、米国の景気が底堅いことが示されるとともに、インフレ圧力が高まることになります。これは、ドル高や国債利回りの上昇を招く可能性があります。逆に、雇用統計が予想を下回れば、米国の景気が減速していることが示されるとともに、インフレ圧力が低下することになります。これは、ドル安や国債利回りの下落を招く可能性があります。
さらに、今週は米国の巨大IT企業の決算発表も相次ぎます。30日(火)にはマイクロソフトやアップル、31日(水)にはフェイスブックやアマゾン、1日(木)にはアルファベットなどが決算を発表します。これらの企業は、米国株式市場の代表的な指標であるS&P500種株価指数の時価総額の約20%を占めており、決算内容や業績見通しが市場の動向に大きな影響を与えると考えられます。これまでに決算を発表したIT企業の多くは、市場の予想を上回る好調な業績を報告しており、株価も上昇しています。しかし、今後の景気減速や規制強化などのリスクに対する見通しも重要になるでしょう。
以上のように、今週は米国の金融政策や経済指標、決算発表など、市場の動向に影響を与えるイベントが目白押しです。市場の予想と結果の乖離によって、ドルや株、国債などの価格が大きく変動する可能性があります。投資判断の最終決定は、ご自身で行っていただきますようお願いいたします。
ビットコイン、GBTC売り圧力後退で底打ち鮮明に、今週はイベント続く
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